第73章

嫉妬だ。

 林川天一のやり方は、完全な火事場泥棒である。

 丹羽光世の機嫌が良いわけがない。

 丹羽光世は再び尋ねた。「林川天一は薔薇を何本贈ったんだ?」

 川崎正弘は茶をすすりながら、淡々と答えた。「エミリーの話では九十九本だそうです」

 エミリーとは、丹羽光世が会社に潜り込ませている監視役のことだ。

「たった九十九本か。ケチくさい」丹羽光世は鼻で笑った。「九千九百九十九本手配して送れ」

 川崎正弘は危うく茶を吹き出しそうになり、むせて咳き込んだ。「ボス、九千本以上となると、大型トラックが必要ですよ。島宮さんも受け取りきれないでしょう」

 丹羽光世はもっともだと思った。「な...

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